マンションの広告などでは、「家賃並みの負担でマイホームが手に入る!」といったキャッチコピーをしばしば見かけます。価格が下がり、金利の低いいまなら、ローンを利用したとしても、現在支払っている家賃程度の負担でマンションが買えるというわけです。しかし、そうした試算には税金の負担が出てくることが意図的に無視されていることが多いのです。その意味では、買ったあとの税負担にもキチンと目配りされているのは、たいへんいいことだと思います。
白神さんが心配されているひとつの要因として、専有面積36m
2の物件を買われたため、マイホームに適用される
軽減措置が受けられないという点が上げられるのではないでしょうか。というのも、軽減措置を受けられる住宅の要件に、「床面積(登記簿面積)50m
2以上」という項目があるのです。この要件をクリアできる物件なら、たとえば建物に関する不動産取得税については1200万円の控除があるため、購入価格3000万円台までの物件なら、ほとんどの場合税額はゼロになります。固定資産税に関しても当初5年間は大幅に減額されます。しかし、
36m2のマンションではその対象外ですから、やはり税金支払いの準備が欠かせないことになります。
住宅に関する税金は、ほとんどの場合、「固定資産税評価額×税率」で算出されます。固定資産税評価額は、市町村(東京都の場合は東京都)が建物完成後に評価して算出するもので、新築マンションを買うときにはいくらの評価額になるか確定できないのがふつうです。ひとつの考え方として、土地の評価額は取引価格の目安とされる公示価格の7割を基準にしています。しかし、その公示価格も実勢価格に比べると多少低いケースが多いのです。地域によってバラツキが大きいのですが、公示価格が実勢価格の7割とすれば、
固定資産税評価額は実勢価格×0.7×0.7ということになります。
おおむね半額程度とみておけばいいのではないでしょうか。また、
建物については建築費の5割から7割程度の範囲で評価されることが多いようです。ここでは、土地が1200万円の5割の評価で600万円、建物が1700万円の6割程度で1000万円ということで税額を試算してみましょう。
その前提で試算すると、不動産取得税は下にあるように合計39万円の税額になります。
土地に関しては、評価額の2分の1に対して税率3%、建物は評価額そのものに3%の税率です。これは、買ったときの1回限りの税金ですが、通常は購入してから一定期間後に都道府県から税額の通知書と納付書が送付されてきます。ただし、軽減措置によって税額がゼロになるケースは、都道府県によっては送付されないケースもあるようです。
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日付けの所有者に対してかかる税金で、所有している限り税金の負担を免れることはできません。通常は、年間4回に分けて納付することになります。
税率は、
固定資産税が土地・建物ともに1.4%で、都市計画税は0.3%ですが、都道府県によっては若干税率が異なることがあります。東京都の場合、一定の条件を満たす新築住宅には減免措置がありますが、白神さんの場合にはやはりその対象にはなりませんので、通常の税率での計算になります。先の評価額をあてはめると、固定資産税が年22.4万円で、都市計画税が4.8万円、合計27.2万円になります。年間でおおむね30万円弱と心積もりしておけば、さほど大きな誤差はないかと思います。
(1) |
不動産取得税
〇税額の計算方法
土地 |
固定資産税評価額×1/2×3% |
建物 |
固定資産税評価額×3% |
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〇土地の評価額が600万円、建物の評価額が1000万円の場合の税額
土地 |
600万円×1/2×0.03(3%)=9万円 |
建物 |
1000万円×0.03(3%)=30万円 |
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(2) |
固定資産税
〇税額の計算方法
土地 |
固定資産税評価額×1.4% |
建物 |
固定資産税評価額×1.4% |
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〇土地の評価額が600万円、建物の評価額が1000万円の場合の税額
土地 |
600万円×0.014(1.4%)=8万4000円 |
建物 |
1000万円×0.014(1.4%)=14万円 |
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(3) |
固定資産税
〇税額の計算方法
土地 |
固定資産税評価額×0.3% |
建物 |
固定資産税評価額×0.3% |
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〇土地の評価額が600万円、建物の評価額が1000万円の場合の税額
土地 |
600万円×0.003(0.3%)=1万8000円 |
建物 |
1000万円×0.003(0.3%)=3万円 |
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