繰り上げ返済の鉄則は次の4点です。
- できるだけ早く実行したほうがトクする
- 金利の高いローンから実行する
- 残高の多いローンから実行する
- 残存期間の長いローンから実行する
この鉄則からすると、若干ですが、ご主人のほうの借入額が多いので、そちらかという気もしますが、実際問題としてはいずれ奥様が退職されるのであれば、まずは奥様の分を減らしておくほうが現実的でしょう。借入額の差も20万円だけですから。
次に、まとめたほうがいいのか、こまめに実行するのがいいのかという点ですが、これは結論からいえば、ほんのわずかだけですが、
2回に分けたほうがトクするようです。「
できるだけ早く実行したほうがトク」という鉄則があてはまるわけです。
手元に残しておくお金も考慮して、ローン返済開始から1年後に約100万円、2年後に約100万円繰り上げ返済するケースと、2年後に約200万円をまとめて繰り上げ返済するケースを試算してみました。ともに56回の返済期間短縮で、その間に本来支払うべき利息を100万円前後カットできるのですが、2回に分けたほうがカットできる金額は多くなります。
しかし、手数料が2回かかりますから、それを考慮すると結局、トクする金額は4638円ということになります。
それでも少しでもトクするほうがいいという考え方もありますし、手間ヒマや少しでも手元に残しておける金額が多くなる安心感をとったほうがいいのか、判断は分かれるところです。もっとも、いまの時代、100万円を1年間銀行においていても、普通預金では利子は10円。それを考えれば、やはり4638円トクするほうがいいでしょうか。ただ、これは繰り上げ手数料が3万1500円の銀行の例でみました。金融機関によっては5万2500円ほどのところもあるので、その場合には1回にまとめたほうが得策ということになります。
なお、固定期間終了後に金利が上がったときに繰り上げ返済したほうがいいのかどうかという点ですが、これは金利しだいということでしょう。たしかに
金利が上がればトクする金額は多くなりますが、逆にそれまでに
元金を減らしておけば、金利上昇のリスクをできるだけ少なくすることができます。現在の段階では3年後の金利を予測するのは簡単ではありませんから、
早めに繰り上げ返済して確実に元金を減らしておくほうが無難だと思います。
借入 |
借入額 |
金利 |
返済期間 |
毎月返済額 |
夫 |
1850万円 |
1.3% |
35年 |
5万4849円 |
妻 |
1830万円 |
1.3% |
35年 |
5万4256円 |
合計 |
3680万円 |
-- |
-- |
10万9105円 |
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(1) 100万円ずつ2回に分けて繰り上げ返済する
- 返済開始1年後に102万7057万円を繰り上げ返済する
→ 29回の短縮、利息支払いを54万6367円トクする
- 返済開始2年後に99万8544円を繰り上げ返済する
→ 27回の短縮、利息支払いを46万6368円トクする
(2) 200万円にまとめて繰り上げ返済する
- 返済開始2年後に203万9033円を繰り上げ返済する
→ 56回の短縮、利息支払いを99万9303円トクする
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(1) |
(2) |
繰り上げ返済する金額(A) |
202万5601円 |
203万9033円 |
トクする利息(B) |
101万2735円 |
99万9303円 |
手数料(1回3万1500円)(C) |
6万3000円 |
3万1500円 |
差し引き(A+C−B) |
107万5866円 |
107万1230円 |
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