超低金利時代ですから、固定金利選択型の固定期間の短いものには、1%台の金利のローンもありますが、
将来の金利上昇リスクを考えると、住宅金融公庫などの固定金利型のほうが安心です。しかも、公庫融資は5月に金利が下がって、最も金利の低い基準金利が2.10%になりました。年収800万円以下の人なら購入価格の8割までは利用可能ですが、2.10%の基準金利が適用される基本融資額は白崎さんの希望物件や地域を考慮すると、下にあるように2000万円強にとどまります。不足分は、年金融資や民間ローンなどを組み合わせていく必要があるわけです。その分、金利がやや高くなり、また複数の金融機関を利用することになって、各種の手数料なども増えてきます。であれば、
当初10年間は金利が2.30%の労働金庫に一本化するほうが得策という考え方もあります。
労金ローンだと当初10年間の金利は公庫の基準金利より若干高くなりますが、
火災保険料や生命保険料が無料というメリットがあります。たとえば、公庫の団体信用生命保険料は当初1年目が約8万円。35年間そのまま返済し続けるとすれば、合計190万円ほどになります。火災保険料も10年契約で約10万円。これらが無料になるのですから、実質的な負担は公庫とそう変わらないことになります。公庫を基本に他のローンを組み合わせていく手間ヒマや事務手数料などを考慮すれば、労金ローンに一本化するほうが得策かもしれません。
返済負担をみると、月8万円、ボーナス時20万円以内の希望条件は十分クリアできます。借入額3000万円のうち、1000万円をボーナス返済に回したとして、毎月返済額が約7万円、ボーナス分が約21万円です。ボーナス月は約28万円の返済になりますが、年収750万円の白崎さんなら、まず大丈夫でしょう。ただ、
ボーナス支給額には変動の可能性が大きいので、できればボーナス返済はなしにして、毎月返済だけで計画を立てるほうが安心かと思います。実際、住宅金融公庫の調査をみても、最近はボーナス返済利用者が急速に減少しています。ちなみに、ボーナス返済しない場合の毎月返済額は10万4000円ほどになります。
なお、建売住宅のときには、ローン手続きは一度ですみますが、土地・建物を別々に購入するときには、
土地購入時と、建物完成時の2段階での手続きが必要になります。土地購入時に必要な資金を借り入れ、建物が完成したときに土地・建物分を合わせたローンを組んで、土地購入時に借り入れたお金を一括返済する形になります。土地購入時のローンは完成時までの一時的なローンなので「つなぎ融資」といういい方もされます。通常の住宅ローンに比べると金利がやや高くなりますので、どれくらいの期間必要で、金利負担はいくらになるのかを調べて、あらかじめ準備しておく必要があります。ただ、建築条件付きの宅地を買って家を建てるときや、土地も同じ住宅メーカーから買うときなどには、この「つなぎ融資」の手続きが必要のないケースもあります。予算に大きく影響してくる問題なので、あらかじめ確認しておきましょう。
● 白崎さんのマイホーム購入計画の概要
約66坪(約217.8m 2)の土地を買って、約40坪(約132m 2)の建物を建築
土地購入予算は1500万円、建物建築費は約2500万円の合計4000万円
自己資金は1000万円
(1) 住宅金融公庫の基本融資利用可能額
住宅基本融資 |
1290万円 |
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生活空間加算 |
500万円 |
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土地融資 |
340万円 |
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合計 |
2130万円 |
→必要予算に足りないので年金融資などを合わせて利用する必要がある。
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(2) 年利2.3%の労金ローンを使った場合
・ 毎月返済のみ
借入額 |
金利 |
返済期間 |
毎月返済額 |
3000万円 |
2.3% |
35年 |
10万4059円 |
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・ ボーナス返済併用
借入額 |
金利 |
返済期間 |
毎月返済額 |
ボーナス返済額 |
3000万円 |
2.3% |
35年 |
6万9373円 |
20万8760円 |
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労金ローンのメリット
- 火災保険料が無料
- 公庫で保険金額1500万円、10年契約の場合約10万円、35年契約が約25万円
- 生命保険料が無料
- 公庫は3000万円で初年度約8万円、35年間合計で約190万円
- 保証料が安い (労金会員は3000万円のローンで約52万円)
- 公庫は3000万円のローンで約66万円
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