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入院したら医療保険からいくらもらえる?必要な入院費用と比較してみよう

入院患者と看護師の写真

入院費用に幅広く備えられる医療保険では、入院するといくら保険金がもらえるのでしょうか。

本記事では支払われる保険金の計算方法や入院した場合に発生する平均的な費用、公的医療保険(健康保険)から支払われる金額についてもお伝えします。

万が一に備え情報収集し、入院時のお金周りの不安を払拭しましょう。

入院したらいくらかかる?

もしも入院が必要となったら、どれくらいのお金がかかるのでしょうか。厚生労働省「医療保険に関する基礎資料(令和5年度)」によると、1件あたりの入院で大体59.4万円の医療費が発生しているようです。

【入院に関するデータ】

  • 1件あたり入院及び食事・生活療養費:59万4,765円
  • 1件あたり入院日数:14.98日

※厚生労働省:医療保険に関する基礎資料(令和5年度)より

上記から1日あたりの入院費用を単純計算すると、「約4万円」掛かることが分かります。入院日数に関しては、もっと長いとする調査もあります。

厚生労働省「患者調査(令和2年度)」によると、平均入院日数は33.3日となりました。こちらで計算すると、1日あたりの入院費用は「約1.8万円」となります。

同調査によると、平均入院日数が最も長いのは「統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害」の570.6日で、「血管性及び詳細不明の認知症」の312.0日が続きます。平均入院日数が長い傷病を以下にまとめました。

【主な平均入院日数が長い傷病】

  • 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害:570.6日
  • 血管性及び詳細不明の認知症:312.0日
  • アルツハイマー病:273.0日
  • 気分[感情]障害(躁うつ病を含む):137.4日
  • 脳血管疾患:77.4日
  • 慢性閉塞性肺疾患:52.7日

公的医療保険で医療費の全額が負担されるわけではないため、入院日数が長くなるほどお金の負担は大きくなります。入院によるお金の負担を軽減させたい場合、保険加入が有効でしょう。

差額ベッド代

入院で発生するお金は医療費だけではありません。例えば、「差額ベッド代」の負担が発生する場合があります。

差額ベッド代とは、希望して個室などに入院した場合にかかる費用です。公的医療保険の対象外で、費用の全額が自己負担となります。差額ベッド代の平均は以下の通りです。

【差額ベッド代の平均の推計(1日あたり)】

  • 1人部屋:8,221円
  • 2人部屋:3,122円
  • 3人部屋:2,851円
  • 4人部屋:2,641円

※厚生労働省:主な選定療養に係る報告状況(令和2年7月1日時点)

食事代

入院すると、通常の医療費とは別に、入院中の食事費用を負担する「入院時食事療養費」と呼ばれる制度があります。1食あたり、以下の自己負担額が発生します。

【入院1食当たりの自己負担額】

  • 一般の方:食460円
  • 住民税非課税世帯:1食210円
  • 住民税非課税世帯のうち、入院日数が90日を超える方:1食160円
  • 住民税非課税世帯のうち、70歳以上の低所得者:1食100円

その他

入院や治療に直接かかる費用のほか、家族が見舞いに来るときの交通費や日用品など、入院するとさまざまなお金の負担が発生します。

公的医療保険でいくら入院費用の負担が減っているのか?

日本は「国民皆保険制度」が取られており、何かしらの公的医療保険(健康保険)に加入しているため、自己負担する医療費は一定以下の金額です。

公的医療保険でどれくらい入院費用が減るのか確認しましょう。

健康保険で医療費が3割(または2割or1割)

基本的に、現役世代が負担する医療費は3割です。例えば、医療費が10万円発生すると、私たちが負担する金額は概ね3万円です。

負担の割合は、年齢によって以下のように変動します。

【公的医療保険(健康保険)の自己負担割合】

  • 6歳未満:2割
  • 6歳~69歳:3割
  • 70~74歳:1割(現役並み所得者は3割)
  • 75歳以上:1割(現役並み所得者は3割)
    (参考)6歳未満(義務教育就学前):2割

高額療養費制度の自己負担分

3割の負担でも、医療費によっては大きな負担になります。仮に医療費が200万円なら、たとえ自己負担が3割でも60万円もの金額を負担しないといけません。このような事態を防ぐのが「高額療養費制度」です。

高額療養費制度とは、ひと月ごとに「自己負担限度額」を設け、仮に限度額以上の自己負担額が発生した場合、差額をあとで払い戻す制度です。

自己負担限度額は所得によって、以下5つの区分があります。

【高額療養制度の自己負担限度額(70歳未満)】

所得区分 自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上 25万2,600円+(総医療費-84万2,000円)×1%
標準報酬月額53万~79万円 16万7,400円+(総医療費-55万8,000円)×1%
標準報酬月額28万~50万円 8万100円+(総医療費-26万7,000円)×1%
標準報酬月額26万円以下 5万7,600円
住民税非課税世帯 3万5,400円

標準報酬月額とは、大まかな月の報酬のことです(手当など含む)。4~6月に受けた報酬を平均した金額(報酬月額)を、キリの良い50の等級に当てはめて算出します。

【標準報酬月額の例(東京都 令和5年3月分以降)】

報酬月額 標準報酬月額
6万3,000円未満 6万3,000円(1等級)
12万2,000円以上~13万円未満 12万6,000円(9等級)
21万円以上~23万円未満 22万円(18等級)
29万円以上~31万円 30万円(22等級)

例えば、標準報酬月額30万円の方が、総医療費200万円の治療を受けた場合の自己負担額は以下のようになります。

【自己負担額の計算例(標準報酬月額30万円、総医療費200万円)】

8万100円+(200万円-26万7,000円)×1%=9万7,430円

上記の場合、総医療費が200万円なので、窓口では3割の60万円を支払わないといけません。しかし、自己負担限度額は9万7,430円なので、差額の50万2,570円があとで返ってきます。これで実質的な負担割合を約5%に下げられます。

あとから返ってくるとは言え、一時的な支払いの費用負担は大きいです。事前に高額療養費制度に該当しそうな場合、「限度額適用認定証」の発行を受けることで、窓口での負担も自己負担限度額内に抑えられます。

加入している協会けんぽ支部に「健康保険限度額適用認定申請書」を郵送することで、おおよそ1週間で「限度額適用認定証」が発送されます。

注意点は、高額療養費制度の自己負担限度額は、あくまでひと月あたりの金額だという点です。治療が長引くなどし、月をまたいでしまうと、負担が実質的に上昇する点に注意しましょう。

傷病手当はどれくらいもらえるか

病気やケガで仕事を休み、給与が減るなどの影響がある場合、「傷病手当金」が支給されるケースがあります。

傷病手当金は以下の式で計算され、最長1年6ヶ月支払われます。給与の概ね3分の2が支払われるイメージです。

【傷病手当金 受給金額(1日あたりの金額)】

支給開始日以前の継続した12ヶ月間の標準報酬月額の平均÷30日×3分の2
傷病手当金の受給要件は以下の通りです。

【傷病手当金 受給の条件】

  • 業務外の病気やケガで4日以上休業しないといけない
  • 休業中の給与が上記の式に満たない(または給与の支払いがない)

傷病手当金は、4日以上の休業が対象です。また、その間に給与などが支払われている場合は傷病手当金を受けられません。

注意点は、傷病手当金の対象は、「業務外」の病気やケガが原因の休業という点です。業務中の病気やケガは「労災保険」の受給を申請しましょう。

公的医療保険の対象外の費用に注意

公的医療保険(健康保険)からの保障は手厚いですが、実は対象外の費用も多くあります。

【主な公的医療保険の対象外となる費用】

  • 業務上および通勤中の病気やケガ(労災保険の対象)
  • 保険適用対象外の治療費や手術代
  • 高度先進医療
  • 差額ベッド代
  • 入院時の食事代
  • 入院中の見舞い客の交通費
  • その他入院中の日用品など

公的医療保険だけで入院費用のすべてをカバーできない点には留意しましょう。

民間の医療保険でいくらもらえる?

公的医療保険(健康保険)でカバーできない部分も、民間の医療保険ならカバーできる場合があります。民間の医療保険の概要を確認しましょう。

医療保険の仕組み

民間の医療保険は、入院や手術が発生した際に保険金が支払われるケースが一般的です。

入院したら民間の医療保険からもらえるのはいくら?

入院した場合に、医療保険から支払われる保険金は「入院日額×入院日数」で計算されます。

例えば、入院日額5000円とする医療保険の場合、入院1日あたり5000円が支払われます。厚生労働省の「患者調査(令和2年度)」では平均入院日数は33.3日でしたから、入院日額5000円なら約17万円が支払われる計算です。

なお、医療保険によっては免責期間が設けられており、数日以上入院しないと保険金が出ないタイプもあります。たとえば、入院4日目から支払われる医療保険の場合、30日入院しても27日分しか保険金が支払われません。入院日額5000円なら1万5000円目減りしてしまいます。

一時金タイプの入院給付金もある

入院日数に関わらず、条件を満たすとまとまった金額を支払う「一時金タイプ」の保険金もあります。所定の診断や手術を受けた場合や、先進医療を受けた場合などで支払われます。

医療保険によって条件が異なりますので、事前にチェックしておきましょう。

入院しても支払われないことがある

民間の医療保険は、主に治療を目的とした入院に対して保険金が支払われます。検査入院など、治療を目的としない入院では保険金が支払われないケースがあります。

保険金が支払われないケースは、契約の前に「重要事項説明」などで必ず確認しておきましょう。

入院には民間の医療保険の備えがベター

入院すると、決して少なくないお金の負担が発生します。公的医療保険(健康保険)である程度はカバーできますが、対象外の費用も多いため、万能ではありません。

入院に備える場合、民間の医療保険に加入するとよいでしょう。

  • ※ 本記事は2023年9月1日時点の内容であり、将来の商品改定によっては内容が変更になる可能性がございます。
  • ※ 本記事は2021年8月30日にNTTドコモより掲載された記事を一部改変したものが含まれています。 掲載にあたっては、NTTドコモの転載条件を遵守しています。
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